著者リチャード・スチュワートは、19世紀に最も勇敢で不屈の意志を貫いた一人のベルギー人司祭ダミアン神父を特別な人、あるいは聖人として描くためにこの本を書いたのではなく、「ダミアンとはどういう人間なんだ？」という心の底からの問いかけに答えようとしたのです。そのため彼は15年間にわたって、収集・調査した多くの未刊行の手紙や日記に基づき、ダミアンの実像、その真実に迫ったのです。
　その結果、「ダミアンと彼のもとに引き寄せられてきた個性豊かな人々の姿を鮮やかに描き出し、それが百数十年前に太平洋の真ん中の石ころのような島に世界の目をむけさせた、現実のドラマ」であったことを思い起こさせます。

●目次
1　追放の地モロカイ島
2　誕生、幼年時代、そしてはばたき
3　「イエズス・マリアの聖心会」
4　ハワイ：奮闘の始まり
5　プナ：最初の小教区
6　コハラ・ハマクア：第２の小教区
7　モロカイ島の嵐の前の静けさ
8　プ・ハラの木の下で
9　永遠なる囚人！
10　ダミアン、制約を解かれる
11　キリストのごとく：司祭として、医者として、大工として
12　「わたしたちハンセン病患者は・・・」
13　生存者ハッチソン、勇気ある医師エマーソン
14　最高の仕事
15　名誉の勲章といばらの冠
16　看護師来たる
17　ダミアン、拒絶に遭う
18　ハンセン病患者ダミアン
19　ダミアンは殉教者か
20　死の陰の谷
21　「修道士ダットンと申します・・あなたを助けに来ました」
22　死の暗い影
23　あなたの鞭と杖がわたしを慰める
24　ハワイの夕日
25　司祭に捧げるレクイエム
26　賞賛と、ある牧師の誹謗
27　ハイド師への公開状
28　第２の聖ダミアン