『マザー・テレサ　なくても与える人』の著者、イエズス会のホアン・カトレット神父がマザー・テレサの生涯をスケッチし、聖パウロ会の赤波江謙一神父が解説を加えました。福者マザー・テレサの愛の軌跡を小・中学生にも分かりやすく紹介します。

●まえがき より
　私はマザー・テレサのことを、「なくても与える人」とお呼びするのが好きです。彼女は物質的には貧しい人でしたが、豊かな母の愛に満たされた人でした。私たちの記憶の中に生きているマザー・テレサは、多くの人々にその豊かさの中から、熱意、愛、平和、正義、心遭いを、また、世界中の至る所で「神の愛の宣教者会」の会員が与え続けている医療的な、あるいは人道的な支援に加えて、永遠に変わることのない価値あるものを与え続けています。まさに彼女は「与える人」なのです。
　マザー・テレサは特別な信心を行っていたわけでも、推奨していたわけもでありません。しかし彼女の言葉は的確に人々の心を捕らえて離しません。マザー・テレサが行っていたことがそのまま言葉になった、言動の完全な一致がそこにあった、というのがその理由です。それが彼女の素晴らしい人間性の秘密だと思います。
　この小さな本がマザー・テレサに対する感謝の思いをいくらかでも表せるものになればと思います。私がマザー・テレサの生涯に関する幾つかのスケッチを描き、それをスペイン在住の実兄のホセ・カトレットが水彩で完成し、聖パウロ会の赤波江謙一神父が解説を加えました。私たち三人は、マザー・テレサの列福の機会に、この本が絵の好きな子供や多くの人に、マザー・テレサの生涯の一部を紹介できるのではないかと思っています。マザー・テレサをたたえる多くの出版物の中で、私たちのささやかな奉仕が、イエス様と世界中の兄弟姉妹に対して、マザー・テレサの愛を証しするものとなることを希望します。皆さまのお気に召していただければ幸いです。